SSブログ

岡嶋二人の「珊瑚色ラプソディ」を読み終える※ネタバレあり※ [本]


珊瑚色ラプソディ (集英社文庫)

珊瑚色ラプソディ (集英社文庫)

  • 作者: 岡嶋 二人
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 1990/04/17
  • メディア: 文庫



岡嶋二人の作品「珊瑚色ラプソディ」
山本山シリーズほどではないけれども、鍵かっこによる会話でどんどんと話が進んでいく展開。
オーストラリアから帰国して結婚式を挙げる予定だったのだけれども、帰国直後に婚約者が、沖縄旅行で盲腸の手術を受けたことを知る。

沖縄へ駆けつけると、彼女は記憶が曖昧。
さて、いったい彼女になにがあったのか?

という物語なのだけど、ひとつの事件を難しく絡ませて、魅力的な解き方をしていくミステリーは今回も健在。
1989年の刊行なので、ちょっと時代を感じさせる設定。岡嶋作品は時代を感じさせない部分があるけれども、この作品は時代を感じさせた。
女性が男性の三歩後ろを歩くみたいな控えめなキャラクターだったから。
特に、女性の母親が「嫁入り前なんだから」みたいな言葉が、時代を感じさせた。
そんな貞操観念がある時代のほうがいいんだろうけど。
いや、少子化だから、できちゃった結婚でも歓迎するべきなのか。



ネタバレあり




離島の住民と医師の繋がりを求めあった結果、引き起こされた事件。
なんともせつない事件であった。2時間ドラマの悲しき殺人事件って感じ。
やっぱり捜査には刑事がでてきたほうがしまりがあるように思うので、今回は完全に男が一人で解決してしまっていく展開で、ちょっと物足りない。

やっぱり岡嶋は人さらいが秀逸すぎてしまって、作品を読破していくにつれてハードルがあがっていくから仕方ないのかな。

ネタバレとしては、島にやくざのお金を持ち逃げしたバンドマンがやってくる。
そいつを追ってやくざがやってくる。

やくざと一緒に島への船に乗っていた婚約者の彩子と友人の乃梨子。
二人の女は二人の男のいざこざに巻き込まれて、彩子は頭を打って意識を失い、乃梨子は崖から落ちて脾臓破裂の重傷。
やくざは死んで、持ち逃げ男は軽傷。

乃梨子は血液型がRH-のB型で島民には一致する人がいない。近くの島まではヘリコプターか船があるけど、台風でだせない。

そんなときに、血液型が一致したのがやくざの金を持ち逃げした男。
輸血をするかわりに、お金は払うし、ここでの事件は一切なかったことにしてほしいといわれて、離れ児島に赴任してくれた医師の妹である乃梨子を救うために、それを受け入れる。
しかし、輸血量が足りない。もっと輸血をすれば、男が死んでしまう。

医師は反対するが、島民は先生の妹を救うために医師を説得、医師は島が本当に気に入っていたが、東京から来た余所者であると、ちょっとどこか思う部分があった。これで島と一緒になれる。
そんな気持ちがあったから、輸血を行い。男が死に、妹が助かる。

そうなってくると彩子の存在が邪魔になる。
とはいえ殺すわけにはいかない、妹の友人だし。

ということで、彩子を近くの島へやり、その島に住む離島出身者の病院、旅館、バーと結託をして、架空の男をでっちあげ、その男と浮気をしていて、その最中に盲腸になり男は婚約者がやってくるとまずいから逃げたというストーリーをつくる。



そんな話があって、術後の曖昧な記憶の綾子に彼女の婚約者の里見耕三は、彼女を疑いながらも信じて、彼女の浮気疑惑と曖昧な記憶をはっきりさせてやろうと行動をする。
彼女の記憶が曖昧だけど、ところどころ一致していて、真実と嘘の取捨選択をしていって読むと、謎解きが簡単にできてしまうのかもしれないけれども、その辺の織り交ぜ方がよかった。
最初はどーなるものか、こんだけ意味不明な彼女の話がどーなっていくのか、心配してしまうくらいの部分もあるけれども、ちゃんと納めるのは、毎度毎度よくできているもんだなぁと感心。



nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

nice! 1

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント

トラックバック 0