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ピエール・ルメートルの「監禁面接」を読み終える※ネババレあり※ [本]

「その女アレックス」のピエール・ルメートルの「監禁面接」
その女アレックスの展開が凄く面白かったので、代名詞となってしまっていまだにそれを越えないピエール・ルメートルだけれども、この作品は出版はその女アレックスより前。翻訳が後になってしまったとのこと。





ネタバレあり



失業したアランが、採用試験挑む話。
失業の辛さが身に染みる冒頭から、思いもよらぬ方向へ展開していくダイナミックな作品だった。

監禁された時の対応力で、人物の能力を見極めるというドッキリ採用試験なんて違和感あるはずなんだけど、アランの置かれた状況、みじめさがしっかり描かれた後の監禁面接だから、そんなに違和感なくすんなり。


失業したアラン57歳。
早朝の品出しバイトをしながら就職活動中。
年下の上司にいらっとしてぶん殴りくびになる。


応募した企業の面接試験へ。
それが監禁面接。
どうしても採用されたいアランは、業界、企業について探偵を雇ってまで調べ上げる。
その過程で、その面接はやらせ。採用者は決まっていて、その人物の能力を確認したいだけ。
しかし、娘の住宅資金を借りてまで熱心に調べ上げていたアランは面接に挑む。


監禁面接開始。
アランは、鞄から拳銃を取り出し、本当の監禁を始める。
企業社長、面接官、人材派遣会社担当者、監禁面接を準備した元傭兵。
アランの隙をついて、一人が逃亡。
警察に包囲されるアラン。
突然、部屋をでていくアランは、そのまま逮捕される。


拘置所に収監されるアラン。
そこへ監禁面接の準備をした元傭兵のフォンタナがやってくる。
監禁面接試験を行ったエクシャルの社長ドルフマンの依頼で。

「金を返せ」

アランは部屋をでたあとパソコンにウイルスを仕込みエクシャルの裏金1320万ユーロを奪っていた。
なんとしてでもこの金を渡したくないアラン。
しかし、罪状がとてつもなく大きい事がわかり、金を返すから罪状が軽くなるように協力しろとエクシャルに持ちかける。
エクシャルはそれに応じ、会社のイメージアップにつながり、お金が戻ってくる一石二鳥で、失業者の苦悩を理解することなどを理由に訴えを取り下げる。

かなり減刑されて拘置所から1年半くらいででてこられたアラン。
フォンタナがやってきて金を返せ。妻を監禁している。
やっぱりお金を返したくないアランの次の一手は、エクシャルのさらなる不正を手に入れる事。
リストラで社会問題になっているエクシャルのサルクヴィル工場で監禁面接に参加してたポール・クザンのところへ。

クザンは、監禁面接での対応力が評価され、失業していたが人員整理担当に採用されていた。
アランと金銭授受により、大物政治家との裏取引について暴露。

それを手土産にしてアランは、エクシャル社長のドルフマンと取引。
見事に大金を手に入れる。

自宅に帰ると、フォンタナと部下が見張っている。
すべて解決したはずなのに。フォンタナは振りまわれ、完全敗北した事にイライラ。
彼を襲撃してきた。

妻と一緒にカーチェイスになるアラン。
入り込んだ一方通行の道で、対向車。
これで終わりだと思ったら、対向車はアランが品出しのパートの同僚、拘置所に出迎えに来てくれた、クザンのところまでぼろぼろの車で連れて行ってくれた、唯一の友人シャルル。

右へ。
シャルルのウインカーの合図でアランはハンドルを切ると袋小路へ入る。
猛スピードでシャルルの車は、フォンタナの車と正面衝突。

すべて終わる。
大金を手にしたが、夫への不信が積もりすぎた妻は去り、友人シャルルは死亡。
長女は手渡した大金で家を買いアランを受け入れてくれるが、弁護士の次女は弁護中の身勝手な父親の隠し事、裏切りに縁を切る。

お金を手にしたけれども、一番欲しかった妻との生活を失う。
失業中でお金はなかったけれども、つつましやかな生活の方が良かったと思うアラン。





お金か幸福かって物語。
どちらもあればいいんだけれども、離れた心はお金では取り戻せなかった。
とはいえ、妻より給料が低いという事は、男の自尊心を保てない世代の人なんだろうな。
私だったら妻より給料が引くても、相手がそれで納得してるならいいかなって思うんだけどな。




監禁面接

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