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ピエール・ルメートルの小説「邪悪なる大蛇」を読み終える※ネタバレあり※ [本]

ピエール・ルメートル最後のミステリー小説。
今後は歴史小説を執筆していくとのこと。

そんな最後のミステリーは、1985年のフランス。63歳の女殺し屋が軽度の認知症になった。
そんな設定なのでぶっ飛んでるお祖母ちゃんの物語。問題を解決するために殺しちゃえばいいって発想になるのは認知症の影響ではないのだろうけど躊躇なくやる。まさかこの女性がやるわけないよなって先入観もあって捕まる事もないのだろう。警察がやってきも切り抜ける。運も味方する。カーペットに繰るんだ遺体を警察が触れようとしたときに、緊急連絡が入った警察はその場を離れる。

犯人に迫る警察、それをかいくぐり犯行を実行して逃げる殺し屋展開でもない。
お祖母ちゃんが、凄腕を発揮して自身を殺しに来た殺し屋との対決も制していく。

そんな痛快さもあるミステリーだった。


ネタバレあり



63歳の女殺し屋マティルド
軽度に認知症が始まって記憶力が落ちている。
電話ボックスに紙が置かれていて、その指示に従ってターゲットを殺害。
大企業の経営者の股間、喉、つれていた飼い犬も撃つ。
派手な殺し方に違和感を覚えた指令をだすアンリ。

大戦中にレジスタンスの上官と部下として共に戦った仲でもある。
美しいマティルドに恋するアンリ。部下と交際すると周囲へ示しがつかないしプライドもある。
それはマティルドも同じ気持ちだった。美しい私へ迫ってこないの?彼は上官だしな。
そんなすれ違いが時を経て、いびつな形の最後を迎える。

殺し屋がミスをする。リスクが高まった場合は処分する。
一時は一緒に逃げる事も考えたが、彼女は同意しないだろう。
組織のルールを守りアンリはマティルドを殺すための殺し屋を手配する。
しかし、マティルドはその殺し屋を殺す。
失敗したことを知り、次は私だろうと覚悟を決めるアンリ。

アンリの考えた通り、マティルドはやってきて。
彼が配置した殺し屋を倒し、アンリはマティルドに殺される。

マティルドは過去に使用した偽造パスポートでポルトガルへ旅立つためにタクシーに乗り込もうとした時、頭に来ていた隣人を殺してからにしようと思い立つ。そちらへ移動始めた時に、1台の車が猛スピードで庭に入ってくる。マティルドは跳ねられ死亡。

彼女を殺したのは、彼女を追っていた刑事の養父で元知事を務めて大富豪のド・ラ・オスレ。
彼は重度に認知症になり記憶がはっきり定まっていない。時折、しっかりしている事もあるが、刑事とメイドと過ごしていたその時間が幸せだった。その時に教わった運転。幸せを奪った奴への復讐を遂げた。

マティルドは捜査の手が迫ってきた。実際はそれほど迫ってはいないが、短絡的な性格なのか邪魔なら排除で、富豪の家に遊びに行っていた刑事とメイドを殺す。オスレの存在には気が付かず邸宅を後にした。窓辺から車で走り去るまてぃるを見ていた。記憶もしていた。しかし、記憶が正しいのか自身でもはっきりしない。警察も信じてくれないだろう。ぼけ老人の戯言と一蹴されてしまうだろう。ならば私がやる。

そんな物語。
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