真山仁の小説を読むのははじめて。
選挙をテーマにしているので、面白そうだと思い読んだのだけれど面白くなかった。

選挙は戦争。
告示日前に勝負は決まっている。

そんな事をいう主人公で当確師の聖。
告示日までは書かれているんだけれども、それ書かないと話が進んでいかないから当然なんだけれども、選挙という戦の部分が弱い。

当確師は、告示されてからは公職選挙法で関われないとの事だから、選挙戦について書かれないの仕方ないのだけれども、戦いなのに、熱がない。熱くないから、盛り上がらない。
政治活動の部分に関しても、泥臭さとかない。
候補者の政治への熱意は書かれるけれども、行動の部分があまり描かれていない。

政治家って駅前で演説して、握手は両手で腰を曲げて、そんなイメージだけれども、実際はそんな人は少数で、ある程度の地盤がある人が立候補するから、周りの人が動いてくれて、お膳立てしてくれてるものなのだろうか。

良く考えれば、区議会選挙の時と違って、区長選挙のときは演説ほぼ見ない。
首長選挙の候補者ならば、そんなものか。


独裁的な体制を敷こうとする市長が、弱者切り捨て、金持ち優遇の政策を実現しようとする。
本の帯に「目を背けるな、これが日本の現実だ」「デモでは、民主主義は守れない」と書かれているから、これからの日本を生きる若者たちは、政治に興味を持って選挙へ行かないと大変なことになるぞ。
だから、当確師というタイトルであっても、当確師の活躍を描いていないというのであれば納得。

選挙の意味を伝えたかったのだろう。

というわけで、私の選挙戦について描かれている作品だと思い込んでいた事、選挙に対するイメージが議員選挙であって首長選挙ではなかった事。勘違いして読み始めたのがいけなかったわけだ。



当確師
真山 仁

中央公論新社
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