久しぶりの貴志祐介作品。
梅雨物語は、3篇の短編集。

皐月闇、ぼくとう奇譚、くさびら

皐月闇は俳句を読み解いていくミステリーだけど、なんだか噛み合わない先生と元生徒。
結末は残酷。やった事も残酷ではあるから死ぬまでそれから逃げる事はできないし、忘れる事もできないし、してはいけない。


ぼくとう奇譚は、日常で使用しない漢字が多くて読みづらい。
その漢字が一番初めて出てきた時は、るびがふってあるのだけれども、一度じゃ覚えられないんだよ。
全部にふってほしかったな。
話は昭和の戦前で、金持ちの道楽が呪いをかけられる。
なぜ呪いをかけられたのか。男の過去が明かされつつ、その状況が例えられているのが大樹に集まる虫の相関関係であるという見事な結末だった。ミステリーとホラーが合わさっている作品。
最近はミステリー小説の印象がつい良い貴志祐介だけれども、黒い家を書いたホラー小説家の過去が蘇った感じが良かった。


くさびらも現在を舞台にしたホラー小説雰囲気のミステリー。
我々は、みな孤独であるに出てきた霊能者の賀茂禮子がでてくる。
それほどの活躍はないんだけれども、最後に出てきてずしっと重みを与えるキャラクター。