別に・・・発言でバッシングをうけた沢尻エリカが主演した「クローズドノート」も雫井修介作品だけれども、この「仮面同窓会」は都合よく話をつなげている印象はあったけれども面白かった。
高校の同窓会。
厳しい指導をしていた体育教師を、男4人で仕返しをしようと計画実行。
その仕返しをすることで、新たな一歩を踏み出す。それぞれが抱える問題を、高校時代が影響していると思われる、そのせいにしているだけとはわかっていても、責任転嫁をすることで、一皮むけた自分になれるはず。
そんな思いで計画を実行した洋介、八真人、希一、和康
教師を拉致。廃工場で高校時代にやられた体罰をやりかえす。
暴力はなし、いたずらの延長。
翌日、教師が廃工場ではない、別の場所の池で溺死体で見つかる。
四人の中で誰が殺したのか。
疑心暗鬼の物語。
洋輔の三人称、一人称で兄と会話、俺の一人称。
複数の視点で書かれているのだけれども、それぞれが同じ？別人？
その仕掛けがよかった。
洋輔は鼓膜に違和感を持っていて通院している。
兄と会話するシーンがあるけど、兄の存在は見えないし、兄は死んでる。
二重人格っぽいからもう一人の洋輔である「俺」が殺してしまってるというオチなのかとおもったら、そんなことは無く。
俺は別人。
ジョージは、譲二は親父を殺して施設に入り高校では洋輔の下級生。
洋輔以外の三人は留年していたので譲二と顔見知り。俺の一人称で書かれている場面ではまったく性格の違う俺が希一と会話できてもおかしなことでもなかった。
兄は生きている。洋輔は三人兄弟の三男。二男が死んでいて、長男が生きていて二男の死をきっかけにひきこもり。洋輔の部屋の押し入れの中にいる。
その辺はちゃんとネタフリしてあった。
なかなか面白い。
映像では難しい、文字だからこそできる仕掛け。
教師殺しの犯人は、譲二と洋輔と付き合い始めの美郷。
動機は、譲二の妹で美郷の親友で高校時代に自殺していまった日比野真理の復讐。
そのために美郷は洋輔に近づき、盗聴器入りの携帯ストラップを渡す。
真理は、希一、和康に酒を飲まされ強姦される。現場には八真人も居たが真理は彼が好きだったので美郷には言わず。真理は教師にも襲われていた。
美郷は洋輔と八真人がそれに係っているのか、確認するために彼らに近づき調べていた。
四人が教師を襲撃した事にのっかり教師を殺害。
それにより四人を揺さぶり罪を告白させ盗聴し、和康を殺す。
残った三人は、それぞれが犯人だと思いこみ話し合う場所にやってくる譲二と美郷。
なぜか、洋輔の兄。
洋輔の兄の復讐は、二男を殺したのが八真人だから。
八真人は、小学生の時に女性のスカート内を盗撮しているのを二男に見られ、それをネタに好き勝手されていた。みんなで釣りへ行ったとき、堰堤から突き落とす。
それを見ていた希一。八真人を逆らえない手下のようにするが、二男のような直接的な暴力はしない。
最後は、教師が死んでいた池に手足を縛り重しをつけた希一と八真人を突き落とす。
洋輔は真理へ何もしていないので殺されることはないが、親友だと思っていた八真人の殺人を手伝わされる。
小中学生が他者の弱みに付け込んで支配しようという行動にでるのか疑問があるけど、視点の切り替わりと誰が殺したのかの謎が解けてく展開がよかった。