アンディ・ウィアーのアルテミス
火星の人は面白かったんだけれども、アルテミスはなんかそうでもなかった。
主人公のジャズは良い子ではないし、26歳の良い大人が10代後半みたいな感覚で立ち回る。
文章も、落ち着きない口語体。

ジャズの仕事は表向きは運送業。
実際は、密輸品を文通(Eメール通)で知り合った仲間と売りさばいてる。
賢くて器用貧乏。スタイルはすごくよい。


月の都市であるアルテミスの科学的な仕組みの説明は、科学的知識の乏しい私は見事に納得させられてしまうわかりやすい説明。その部分は柔らかい文体で良かった。

犯罪を実行する話だから、軽妙な語り口で描いたのかもしれない。火星の人も絶望的な状況下を軽やかな文体にして希望を与えていた効果があったと思うから、わがまま娘のまま大人になったジャズの言葉で書いたのだろうか。

とにもかくにも、つまらなくはないけど、そんなに面白くもない。
下巻の緊急事態への対処は面白くなってきたし、月面での殺人事件の裏側のミステリー要素はよかった。