五十嵐貴久の「贖い」
東京、埼玉、愛知で発生した三件の殺人事件。
警視庁、埼玉県警、愛知県警のそれぞれの事件捜査が短い章でテンポよく展開していく。
刑事の人間ドラマもあるんだけれども、しつこい。
主役の警視庁刑事の星野がさらっとた淡々としているんだけれども、粘着質な言動にイライラ。
真逆の性質が同居している性格だからこそ、たどり着けた真相って感じではあるんだけれども、容疑者へのしつこさ、繰り返しに読んでるほうもイライラ、飽き飽きしてくる。
刑事捜査ってのは基本的にそうゆうものなのだろう。
地道な捜査が道を切り開く。
ネタバレあり
三件の殺人は同一人物によるもの。
東京の大手商社本社勤務の会社員。星野が聞き込みで担当し、状況証拠から絞り込める人物像と一致したという理由だけで、本部の指示ではなく捜査を進める。
星野とコンビを組む鶴田は女性活躍をアピールするために捜査一課に配属された女性刑事。星野は特殊班の交渉人から刑事課へ配属。特殊班所属時に星野の現在の上司の島崎の弟の殉職の現場に居た。検証結果、星野の責任は問われなかったが刑事課へ移動。
そんな星野と鶴田は窓際係でほったらかし。重要な捜査を命じられることはなく独自捜査を展開。
星野が犯人だと言う稲葉を追う。
犯人の動機は、息子の自殺。
中学時代に自殺した彼の息子はいじめられていた。マンションから飛び降り、稲葉が息子の部屋で見つけたノートに書かれていた三人の名前。それを隠し警察に連絡。自殺は事故として処理された。
稲葉は、子供を失う哀しみを彼らに体験させ復讐することを誓う。東京で小学生男児、埼玉で中学生女子、愛知で生まれたばかりの男児を殺害。警察の手が迫っていることを察知し、三人に子供の事件に関する事と電話を入れ品川のマンションに誘い出す。三人を拘束し自殺しようとする。防音部屋で助けを呼んでもこれず、餓死するか、置かれているのこぎりで手足を切断し助けを呼びに行くか。彼らの選択をさせて。
そこに星野が突入。
稲葉の自殺を防ぎ、逮捕。
刑務所に収監されている稲葉の元を訪れる星野。
怒りと憐れみをこめて、あなたを死刑にはしない。罪を贖い生きてもらうと語る。
星野が三件の事件を結び付けられたのは、稲葉を追っている時、名古屋から刑事が聞き込みに来たと聞き込みで知り刑事に連絡。その刑事との会話の中で同時期に埼玉で中学生女児が殺害されていて嫌になりますねという雑談から。埼玉県警に連絡。
名古屋で永年勤続で貰う鞄のひったくりにあっていた稲葉。
埼玉でレンタカーを借りていた稲葉。
それらと東京の星野が被害者の父母まで捜査の幅を広げ、埼玉、名古屋の被害者の家族を調べた結果、被害者の父親が同じ中学校であること、稲葉の息子が同学年で在席していたことを突き止める。
星野警部シリーズ