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真保裕一の「最愛」を読み終える。※ネタバレあり [本]




真保裕一の作品を読むのは久しぶり。
ホワイトアウトが最初の出会いったと思うけど、誘拐の果実、繋がれた明日、ダイスを転がせ、偽札をつくるのはなんてタイトルだったかな奪取だったか?それら面白い作品が多い作家である。

さて、最愛だけれども、背表紙のあらすじが面白そう。
18年間、音信不通だった姉が銃弾を受け、意識不明で病院に搬送される。かつて殺人を犯したことのある男ととの婚姻届をだした翌日のできごとだった。姉は一体何をしていたのか。

話の展開が早くって、次々と明かされていく姉の過去。
主人公である弟とはまったく違った正反対の性格。
文庫の解説にも書いてあるけど、弟がよくできているというか姉への理解が素早すぎるし、18年間音信普通だったはずなのに、姉を信じる気持ちがものすごく強い。そんな違和感がある。
そして、その違和感の理由、弟が姉のことを瞬時に理解し、姉であればそうだろうと、決め付けられる理由がラストに明らかにされる。

それが、もっとも違和感がある。

ネタバレあり。






最後にやってくる最大の違和感。
それは、姉と弟は肉体的な繋がりがあり、姉は弟の子供を身ごもるが、周囲の説得で中絶していた。
その出来事をきっかけに18年間音信不通となった二人だった。
だから、肉体関係まであるから弟は姉を心の底から信じていたし、強い繋がりを維持し続けられた。

二人は幼い頃に両親をなくし、それぞれ別の叔父と叔母の家に引き取られた。
姉は周囲に馴染もうとしたがうまく行かず、自分の信じる道を進む。
弟は周囲に形式であっても溶け込み問題を起さないように気を使い生きてきた。
叔父と叔母は、姉弟にとっての祖父母の遺産でいざこざがあり、関係悪化。
引き取られた二人も会うことは無くなっていった。
姉が高校生のとき、バイトしてためたお金で年齢を偽ってアパート借り、そこで会うことになる。
幼い時のように、同じ布団で抱き合って寝ることを、同じく高校生になっていた弟が、ごく当たり前のようにしようとする、姉が従兄弟にレイプに近いようなことをされ汚れた体と気にし、弟の抱きしめる行為を拒むと、弟は姉を抱く。

両親亡くして、お互いに家族愛らしいものはあっても、本当のそれを感じられなかった。
唯一、血の繋がりのある兄弟だからそれを分かち合うのに、肉体的に成長した二人のスキンシップは、大人の関係に発展。違和感どころか変すぎる。いくらなんでも近親相姦はないよ。

姉と音信不通になった18年間をその間にであった、主に部屋に残されていた年賀状を頼りにどんな姉だったのかを聞いて周り、姉の夫となった人物についても戸籍などから聞いて回る。
それだけでは、姉の人生だけではインパクトがないし、銃弾を受けるに至る事故の解決では物足りない。
姉が容疑者で、夫も容疑者、二人が無実であると証明するために奔走するという展開ではないから、最後の衝撃として禁断の愛を持ってきたのかもしれない。

だけど、無茶だよ。
とはいえ、読んでいるときは結末に向けて一気に読んでしまうパワーとなっているのも事実。

弟が姉を、男として妊娠させて中絶させた女を守れなかったことの後悔、懺悔の気持ちが姉を信じる気持ちになっていたのだろう。姉は意識不明なので弟の姉への最愛しか書かれていないので、それをより強く感じる。
そんなに強い気持ちがあるのなら、どうして連絡とらなかったのだろう。実姉を妊娠させる、セックスする事すらおかしなことだとの認識が芽生えたから、禁断の関係をもってしまった姉と会うのがためらわれたのかな。
それなら、関係をもった年齢でもわかったような気もするんだけどな。いくら性に興味のある年頃ではあっても、一緒に生活をしていなとはいえ、姉だ。

私には姉も妹もいないから、わからないけど姉や妹を女として認識する瞬間ってあるものなのかな。




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