貴志祐介の悪の教典の上巻と下巻を読み終える [本]
悪の教典 上
悪の教典 下
貴志祐介は好きな作家のひとりで、角川ホラー文庫にはまっていたときに読んだ「黒い家」から好きになり、そこから彼の作品を端から読んできた。
クリムゾンの迷宮が一番だと思ってきたけど、前作の「新世界より」がそれを塗り変えた作家だけど、「悪の教典」はそれを塗り変える事は無かった。
ネタバレあり。
高校教師の蓮見が主人公で、本の帯にも書いてあるけど、サイコパス。
そんな彼のお話なのだけど、そんなに面白くない。
彼は、共感する能力が生まれながらにして欠如している。
共感能力がないから、感情表現をモノマネするから、人を取り込むのが上手。
それだけでなく学力も素晴らしい。
そんなやつなんだけど、けち臭い感じがする。
能力を最大限発揮していないというか、ゴマすり上手なやつって程度に感じてしまう。
自分の欲望を満たすために、自分に好都合な状況、環境にするように、ちまちまと努力してる。
殺人の方法も、そんなんだともっと前に発覚してしまうんじゃないの?という感じもする。
完全犯罪って感じではない。
だけど、映画、小説みたいに超人的な警察官ってのはいなくって、現実的には未解決事件なんて沢山あるんだから、未解決=完全犯罪って事になるんだから、蓮見のやり方も見つかりにくい方法って事で、運も味方して助かっているのかなって印象。
そんな彼に対して、釣井という暗い教師の勘が働いて、サイコだと気がつきはじめる。
この釣井も蓮見にまけない超人的能力を持っているのだけど、肉体的に弱すぎてあっさり殺されてしまう。
この作品は、とにかく蓮見に有利に事が進んでく。
それを彼がその方向に進めているように書かれている。
最終的には、文化祭の準備で1日泊り込みをすることになったクラスメイトを全員殺す。
理由は、付き合っていた生徒を自殺に見せかけ殺したのだが、二人の関係に気がついた生徒をその場でとりあえず殺してしまい、その遺体をどうするか迷ったから。
「木を隠すなら森に隠せ」
そんな理由で夜の学校での殺戮がはじまる。
あんまり面白くないなと思っていた話が、急に面白くなってくる。
殺戮場面になって面白くなるってのは、趣味がよくないかもしれないけれども、40人近い生徒をどーやって1人も逃さずに殺してくのか、バリケードをつくったりして立てこもる生徒たちの反撃は。
結末は、3人生き残る。
蓮見に対して、直感的に違和感を感じ、それについて調べていた片桐、夏越。
蓮見と付き合っていて、自殺に見せかけて殺されたと思われた安原。
蓮見は、逮捕される。
心肺蘇生装置のAEDに録音機能があり、心肺蘇生中に襲撃したときの音声が残っていた。
殺した生徒達の携帯を奪い始末、隠しカメラにも気がついて破壊。
天才がそんな見落としするの?
その直後に蓮見は、心神喪失を演じ始める。
前作の新世界よりと同じように、人間をコントロールするのなんて簡単にできちゃうだろうし、知らずのうちに管理されてしまっている。管理の恐怖みたいなものをテーマにしたのかなと思ったけど、単純にサイコの娯楽を描きたかったのかな。
だから、蓮見が殺人に躊躇する場面が二度あったけど、一度目の高校進学直後は思春期だからあってもいいと思うけど、安原のときは必要ないと思う。
人間らしさなんて必要ないし、純真な高校生とであって人間らしさを手に入れるって展開もいらない。
サイコは最後までサイコであって欲しい。
サイコパスとソシオパスってあるけど、どう違うんだったかな!?
トマス・ハリスの「ハンニバル」に書いてあったはずだけど、レクター博士のような記憶の宮殿もってないし、釣井教諭のような瞬間映像記憶もないから、検索するしかない。
サイコパスは、精神病質者
ソシオパスは、反社会性人格障害
って感じかな?

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