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長岡弘樹の「教場」を読み終える※ネタバレあり※ [本]

警察学校を舞台にした短編小説。
全六話なのだけれども、第五話と第六話以外の結末が恐ろしい。
人間の恨み丸出しの結末に、後味が悪いと思いきやそうでもなくて、その結末が伏線回収しっかりしたものなので、すっきりとぞっとする。

単行本なのに文字が大きく、余白が多い感じがするのであっという間に読み切れるのも良い。



一番よかったのは、牢門
思い違いから一方的に相手を恨み、裏切り、それを知ったもう一方が仕返しをする。
警察学校らしく取り調べの方策である「良い警官、悪い警官」を絡めつつ、目向け覚ましの香水をきっかけにして、最後の立体駐車場に挟まれる事件。それもすぐには助けずに、担任教官が質問攻めにする。
嫌な教官だなと思わせるけれども、後でそれが圧迫されていた時間が長い場合、その圧迫をすぐにといてしまうと血流により死亡してしまう可能性があるということが描かれているのだけれども、別の話で明かされる部分も全体としてのまとまりがあって素晴らしい。

次が、蟻穴
これは、結末。
拳銃打つ時に耳につけるヘッドホンみたいなやつに接着剤が付いていて、ヘッドホンの中に蟻が仕込まれていて、蟻が鼓膜を噛み破る。白バイ隊員を目指していた男が大切な耳に傷をつけられる結末は強烈。

三番目は職質。
情けをかけた男に、バカにすんな!と硫化水素を発生させられてしまうのか!?という結末。
ちょっとしたことで、硫化水素発生計画を見ぬく教官がすごい。


警察学校の過酷さの中で、理不尽な暴力にも耐えながらの、生徒同士の感情の擦れ違いが大きな事件になる。そんな話なのだけれども、警察学校の現実がこんなんだったら、警察官見直してしまう。
絶対に耐えられないだろうな。婦人警官に対しても同じような感じみたいだし、闇社会の縦社会と紙一重って感じがした。

最近、女性警察官の人数が少ないということで、増やそうとしているみたいなニュースを見たけれども、増やすのは大変だろうな。天職だと思っている人間か、相当に要領の良い人間以外は無理だろう。



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