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ジャック・カーリイのブラッド・ブラザーを読み終える。※ネタバレあり※ [本]

序盤の主人公の気弱さ、南部出身を小馬鹿にされても特に言い返したりしないで、素通りしてしまう軟弱というか良い人っぷりが、好きじゃない。
ハズレのミステリーを開いてしまったのかと思いながらも読んでいくと、椅子を蹴って切れる主人公のカーソン・ライダー。そこから急に態度が大きく、自信を持って接するようになるし、いきなりアリス・フォルジャー警部補も親切にしちゃって一夜を共にしちゃう。

急な展開にびっくりだったけれども、話も面白く展開してくる。

シリーズものとのことで、過去に三作品あるカーソン・ライダーシリーズは読んでいないのだけれども、具体的には書かれていない過去の事件についても読んでみたくなった。
地元では、のんびりしていないで刑事らしい刑事をしていそうだし、相棒のハリーとの掛け合いも面白そう。

海外ミステリー作家は、ディーヴァーばっかりだったけど、ジャック・カーリイの選択肢が増えた。

ネタバレあり


ブラッド・ブラザー (文春文庫)

ブラッド・ブラザー (文春文庫)

  • 作者: ジャック カーリイ
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2011/09/02
  • メディア: 文庫


カーソンの兄で連続殺人犯のジェレミーが施設を脱走。NYの空港カメラに映った映像には施設の所長のプロウズと一緒。そしてプロウズの死体が発見される。頭部が切裂かれた腹に押し込められる酷い姿で。
現場にあった封筒にプロウズの映像記録があり、そこに「カーソンを呼べ」というようなことがあり、カーソンがNYに呼ばれる。

そこからジェレミーを追う捜査がはじまるけれども、新たな殺人も発生。
サイコミステリーって感じの展開で、蒔かれた謎がちゃんと繋がっていくのだけど、最後のジェレミー脱走の仕掛けは大胆すぎる。途中で筋肉質の精神的に病んでいる男を手なずける場面があって、終盤で事件が解決してあいつはどーした?と思っていたら、暴走トラックで登場してジェレミーの車に衝突して、銃乱射してその混乱に乗じてジェレミーが逃げるのだけど、ちょっとやり過ぎ。

ちなみに、ジェレミーは実父に虐待されていて、実父を殺したあとに捜査に来た刑事ジム・デイに見初められて猟奇的な世界に入っていく。形式上ではあるのだろうけど。
その刑事も幼少期に虐待されていて、女を憎み、父性を求めることができなかったので自分が父親になればいいじゃないかって事で、虐待、不遇の幼少期を過ごした子供を探していた。
だけど、ジェレミーは三歩先くらいにいて、ジムの危険性を示し、プロウズにほのめかして自分なら彼を探せると施設をだしてもらう。

ジムがやろうとしていたことは、大統領候補である女性ぺラムの殺害。
ジェレミーが逮捕されて施設にいれらてから、新たな子供を捜し、手なずけていた。
彼は警察官の技術班のカーギル。

ジムの存在が明らかになっていく、カーソンの出身地であるアラバマ州モービルでの捜査の場面からグイグイと話が面白くなっていく。無関係と思われていたぺラムに繋がっていくのだけど、繋がっていくのはわかってはいるけど、ジェレミー捜査の途中に挟まってくるぺラムの場面は邪魔だった。もう少し良い感じで挿入できなかったのかなと思う部分がある。

カーソンが一緒に行動するウォルツ刑事は殺人専従ではなくて、広範囲にやっているけど、指揮官的な感じではないし、立場がいまひとつだったので、その辺をちゃんとすればよかったんじゃないのかな。

ちなみに、ウォルツはプロウズと恋仲で、アリス・フォルジャーの実父である。
だから、アリスに刑事としての成長を望んで、自分は一歩引いたスタンスであるのかもしれないけれども、警察の組織上での立場は別だろうし。





百番目の男 (文春文庫)

百番目の男 (文春文庫)

  • 作者: ジャック カーリイ
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2005/04
  • メディア: 文庫




デス・コレクターズ (文春文庫)

デス・コレクターズ (文春文庫)

  • 作者: ジャック カーリイ
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2006/12
  • メディア: 文庫




毒蛇の園 (文春文庫)

毒蛇の園 (文春文庫)

  • 作者: ジャック カーリイ
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2009/08/04
  • メディア: 文庫




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