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奥田英朗の罪の轍を読み終える※ネタバレあり※ [本]

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久しぶりに読んだ誘拐事件を描いた作品。
オリンピックの身代金の奥田英朗で時代はオリンピック直前。

面白くないわけがない。
重厚感と緊張感があって良かった。
犯人は確実にあいつなんだけれども、彼は感情のスイッチを切る事ができる。
どうやって追い詰めるのか。
最初はケチな軽犯罪だった。それがどんどんエスカレートして男児誘拐にまで至ってしまう。
1つの事件が繋がって大きくなっていく。

犯人の子供の頃の境遇は最悪だ。
善悪の判断ができないのは誰の責任なのか?
そんな人間の犯罪の責任は誰にあるのか?

そんな事を考えてしまうタイミングがあったけれども、悪いのはやったやつ。
犯罪を行った奴が悪い。生まれ育った環境、境遇なんて関係ない。
子供の頃から善悪の判断が他の人より緩いからといって許されるものではない。

ベテラン刑事の人情が心を揺さぶり自白させる。
その展開は良かった。

そこで終わらずに逃走から追跡。
面白かった。

犯人は宇野寛治以外に怪しい人物は出てこないのでミステリーではなくサスペンス。
緻密な捜査をする熱い刑事の物語。
小説にも頻繁にでてくるけれども、莫迦な宇野寛治にこれといって動機はない。空き巣は彼が生きるために行える唯一の行為。しかし、優しくしてくれた人のために、金をつくるには空き巣では足りない。じゃぁ黒沢映画で見た誘拐で身代金を奪おう。そんな短絡的動機。そして騒いだ男児を殺害した。

刑事が中心だけれども、山谷の旅館の娘が町井ミキ子が良い。
彼女がいるから善悪のバランスが保たれている。彼女を中心にドラマ化したって面白いんじゃないかと思う。イメージしていたのは二階堂ふみ。



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