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ジェフリー・ディーヴァーの「007白紙委任状」を読み終える。 [本]






年に一度のお楽しみのジェフリー・ディーヴァーの小説。
ジェームズ・ボンドをディーヴァーが書くとどーなるのか!?なんて楽しみはそれほどなかった。
だって、今まで007の映画は観た事あるけど、小説を読んだことはないから。

とはいえ、ディーヴァーのファンであるので、作品は楽しみに読んだ。
うーん、なんか違うなぁ。

映画のボンドのイメージ。
007を観始めたピアース・ブロスナンの派手で陽気な感じでも、無骨で破壊的な現在のダニエル・クレイグに近い感じも無く、食通の英国紳士的なスマートな感じのボンドだった。
映画のイメージと重ねる必要なはないけれども、ダニエル・クレイグのボンドは好きだから、そのイメージが強くあったし、そうであって欲しい感もあるから、ボンドが物足りない。

それから、リンカーン・ライム、キャサリン・ダンスのシリーズ、それ以外の作品も犯人は、こいつだったのか!と登場人物の中から浮かび上がってくるミステリーがあるけど、この作品では敵は最初から敵として登場する。
もちろん、最後に事件の黒幕が「こいつだったとは!」というのはあるけれども。


ネタバレあり。






黒幕は食料援助を行なっている女だった。
彼女は、紛争地の片方と契約をしてそちら側だけに食糧援助を行い、片方には援助を止めるという事で利益をあげていた。
黒幕のパターンとしては007ワールドイズノットイナフで、ボンド側だと思っていたら逆側だったソフィー・マルソーのような感じかな。この映画の適役も痛覚のない男で強かったな。この小説のナイアル・ダンも全ての青写真を描く男で、ボンドをいいところまで追い詰める。MI6の諜報員の無謀な行動がなければ、全員死んでただろう。

「食料=武器」
そんな武器を用いてアフリカの紛争地で儲けていたんだから、別にゲヘナ計画なんて参加する必要なんてなかったし、隠れ蓑にする必要なんてなかったんじゃないのかな。
ゲヘナ計画に参加したことで、007の邪魔が入って来て、最後は逮捕じゃなくって、テロリストを尋問する施設に送られてしまう結果になったのだから。

ゲヘナ計画というのは、国際的なゴミ処理会社の社長のハイトが、ゴミの中からいろいろなシュレッダーされた文書を復元したりしてデータを集めて、恐喝、強請りなどを行なって、そんな情報を同業他社に販売などしたりして、ある製薬会社からヨークで研究開発されている薬と教授を消して欲しいという依頼に対し、ゴミの中からセルビア軍が開発に成功したと捜査機関で噂されている爆弾を実際に開発しテロを行なう。

そんな大掛かりな計画に参加しちゃうから、成功すればそこそこの利益があるし、失敗しても直接参加しないで、彼女のパートナーのダンを通しての事だから、ダンは自分に惚れこんでいるから裏切らないだろうし、かなり優秀な人物だから、危険が波及することはないと考えた。
だとしても、参加する必要ない。金銭欲に溺れて手を出してしまった時点で彼女の破滅は遅かれ早かれきまっていたんだろう。

あと、ボンドがMI6の所属ではなくて、ODGという架空の組織の所属だった。

あと、ボンドガールがいない。黒幕の女とは二晩ベットを共にしているけど、それ以外での捜査的な部分ではまったく係わりが無い。
南アフリカの警察のジョルダーン警部は捜査は一緒にするけど、しっかりとした女性なので一夜を共にするなんてことはないし、ボンドのやり方を好んではいない。それが変化する部分はあるけれども、ボンドにより過ぎることはない。
ライムシリーズのアメリア・サックスのように自分を持っている芯が通ってるのはいいけれども、ボンドガールってちょっとセクシーな部分が欲しい。

そんなわけで、映画007に重ねてしまう部分もあるので、ディーヴァーっぽい謎めいた部分、悪役の論理があまりないので、ちょっぴり物足りない部分もある。
ドバイの死体。でドバイまで追いかけていったのに、未公開の砂漠のミイラの事だったでガッカリ部分は大きかった。







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