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高野和明の「K・Nの悲劇」を読み終える※ネタバレあり※ [本]


K・Nの悲劇 (講談社文庫)

K・Nの悲劇 (講談社文庫)

  • 作者: 高野 和明
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2006/02/16
  • メディア: 文庫




「ジェノサイド」が面白かったし、「13階段」、「グレイヴディッガー」も面白かったけれども、彼の作品で残回読んだ「幽霊人命救助隊」は面白くないというか自殺がメインの話で重たくって気が塞ぎこんでしまったけれども、多数決では面白い作家だから読んだ「K・Nの悲劇」


妊娠し中絶を選択した夫婦の妻が憑依されてしまうホラー小説なのだけれども、軽快なテンポで進んで読みやすかった。2時間ドラマっぽい感じ。

ネタバレあり



幽霊、憑依、精神病というどっちつかずの部分と神秘的な妊娠を組み合わせたホラー小説。

肉体的な現象から精神を解明していく医学は未解明な部分も多いけれども、それなりに納得のいく説明はできるらしい。それが人間の英知のプライドってことだろう。
だけど、逆に精神の影響が肉体に与える部分についての説明はうまくできない。

表裏一体では無い面白さがあった。

妊娠中絶する事を夫婦で話った直後からはじまる妻の異変。
中絶がテーマになっているわけでもなく読みやすい。

妻の夏樹果歩に憑依していたのは、妻が子供の頃の友達で、猫の出産を一緒に見た中村久美。
KNの悲劇は、二人のイニシャルだけれども、果歩には悲劇は訪れることなく、最終的には駅で出産する。

母性の強さってのは、強烈で恐ろしくもある。
経済的な理由で中絶を選択するのもありだとは思うけど、男と女だと精神的な負担は大きく違うんだろうな。
女性は肉体と精神の両方だから。

ホラー小説っぽい書き出しの猫の出産のシーンがすごく印象的だったけれども、それがもう少し作品に絡んできてもよかったんじゃないか。

それから、果歩の存在がなさすぎ。
久美に乗っ取られ過ぎてしまって、彼女の精神の戦いがあってもよかったんじゃないかな。
果歩は、中絶に完全反対ではなかったから、久美に憑依されてしまったから、果歩の主張が過激になったのが久美って存在でないと精神医学的説明できないから仕方ないかもしれないけれども、人格を乗っ取られることへの抵抗はあってもいい。

ラストの子供の名前が「飛鳥」
中村久美が名づけたかった名前と同じというラストが、オーメンでダミアンが振り返って不気味な笑顔を見せるシーンのような、ぴりっとするホラー感がよかった。



ジェノサイド


13階段 (講談社文庫)


グレイヴディッガー (講談社文庫)


幽霊人命救助隊 (文春文庫)


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