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ピエール・ルメートルの「傷だらけのカミーユ」を読み終える※ネタバレあり※ [本]

週刊文春ミステリーベスト10で3年連続1位の作家ピエール・ルメートル
カミーユ警部のシリーズ第3弾にして完結編。

タイトルとおりの傷だらけになるカミーユ
読んでるのもつらい。小柄なカミーユには似つかわしくないタフな展開。
そんなことを言ったら小柄な人への蔑視になってしまうけれども、過去の作品でもタフな警部ではあったけれども、孤軍奮闘の今作はつらい。

ネタバレあり

カミーユ班のアルマンが病死する。
唐突に死んでしまっているから、どうして?という感じ。
これも何か事件にかかわってくるのかと思ったら、そんなことはなかった。

カミーユ班に残るルイ。
カミーユを師事し奮闘したいけれども、巻き込みたくないカミーユは距離を取る。
班として機能しないし、させないカミーユの孤軍奮闘な身勝手。

事件は、カミーユの恋人が宝石店で強盗団に遭遇して襲われるところから始まる。
恋人の事件は担当できないと思ったカミーユは、恋人であることを隠して捜査を開始。

カミーユと恋人の出会いを途中に挟んで、イレーヌを失ったカミーユの心の再生を描いてるのが切ない。
恋人は、犯人に仕向けられた女だったから。

それがこの物語の最大のネタバレだろう。
そして、女を仕向けたのが、「悲しみのイレーヌ」で情報を犯人である新聞記者に流していた(犯人とは知らなかった)マレヴァル。

犯罪者になったマレヴァルはカミーユへの私怨というよりは、銀行強盗をして金を持ち逃げした男ラヴィッチをカミーユに探させる目的。
マレヴァルがラヴィッチの手口を装い、宝石店を襲撃。現場に居合わせたように装ったカミーユの恋人へ暴行を加える。カミーユはラヴィッチを探し捜査する。

ラヴィッチを探し出すために、イレーヌを殺した男と刑務所で面会。
犯罪者に顔が効く彼からの情報を得て見つける。

その時には、恋人がマレヴァルと繋がっている事を知っていたが、電話で場所を伝える。
これから逮捕するから安心しろと。

マレヴァルを待ち伏せするカミーユ。
逮捕し、ルイを呼ぶ。

その場から立ち去り、イレーヌが殺された別荘へ行くカミーユ。
終わり。



これで終わってしまうカミーユ作品。
無謀な捜査でも、事件解決で解雇は逸れるかもしれないけれども、刑事としては難しいだろう。
それにしても、傷だらけだし、悲しい。
重たい作品。他の2作品も重たいけれども、その女アレックスの驚愕の展開は重たさを吹き飛ばす読み応えを与えてくれてた。




日本では発売順が、その女アレックス、悲しみのイレーヌ、傷だらけのカミーユ
話の時系列は、悲しみのイレーヌ、その女アレックス、傷だらけのカミーユ

圧倒的にその女アレックスが面白い。
それ以外は、残酷で読んでてつらい。驚きの展開があるわけでもなく、残忍さで驚かす作品という印象。

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